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若者の大麻汚染が深刻化している。昨年1年間に大麻事件で摘発された人数は過去最多の6482人で、このうち7割以上が20代以下だった。
大麻は、乱用すると運動失調や精神疾患、記憶障害などが生じかねない危険な薬物だ。「ゲートウェイドラッグ」とも呼ばれ、より副作用の強い覚醒剤やコカインなどを使用する「入り口」になる。
警察など関係機関は密売人らの取り締まりを徹底するとともに、乱用防止の啓発活動を拡充してほしい。
日本の薬物事件はこれまで、覚醒剤が中心だった。しかし警察庁によると、大麻取締法違反容疑など大麻関連で全国の警察が昨年摘発した人数は前年より1140人も増え、初めて覚醒剤関連の人数を上回った。10代の大麻関連も前年比310人増の1222人だった。
大麻汚染が拡大している要因の一つは、インターネットで「大麻は有害でない」「依存性も低い」といった誤った情報が流布されていることだ。昨年摘発された若者らへの聞き取り調査でも、大麻の危険性について7割以上が「全くない」「あまりない」と回答していた。
交流サイト(SNS)で容易に購入できることも汚染拡大につながっている。SNSには「新鮮野菜 手押ししてます」などの書き込みがあふれる。「野菜」は大麻、「手押し」は直接取引の隠語だ。
大麻が及ぼす悪影響は極めて大きい。健康被害にとどまらず、人生を狂わせ、家族や周囲も巻き添えにする。
日本大学アメリカンフットボール部の部員とOBの計11人が大麻を所持した疑いで検挙され、学生日本一を決める甲子園ボウルの常連校だった名門が廃部に追い込まれた。東京農業大学ボクシング部でも部員4人が検挙され、同部が長期間活動停止になった。
昨年12月に大麻取締法が改正され、大麻の「使用」に関する罰則が導入されて7年以下の懲役となった。5年以下の懲役だった単純所持罪も7年以下の懲役に厳罰化された。大麻の乱用は重罪であると、国民一人一人が認識すべきだ。
薬物依存者を立ち直らせる取り組みも重要である。関係機関は連携し、相談や支援態勢を拡充してもらいたい。
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2024年4月8日付産経新聞【主張】を転載しています